書籍・雑誌

星の時間

「これは星の時間をあらわす時計だ。」 マイスター・ホラは言いました。

「めったにあらわれないような星の時間を、確実におしえてくれる時計なんだが、
ちょうどいまそういう一時間がはじまったところなのだよ。」

「星の時間て、なんなの?」 とモモはききました。

「いいか、宇宙の運行には、あるとくべつな瞬間というものがときどきあるのだ。」
マイスター・ホラは説明しました。

「それはね、あらゆる物体も生物も、はるか天空のかなたの星々にいたるまで、
まったく一回きりしかおこりえないようなやり方で、たがいに働きあうような瞬間のことだ。

そういうときには、あとにもさきにもありえないような事態がおこることになるんだよ。
だがざんねんながら、人間はたいていその瞬間を利用することを知らない。

だから星の時間は気づかれないままにすぎさってしまうことがおおいのだ。
けれどもし気がつく人がだれかいれば、そういうときには世のなかに
大きなことがおこるのだよ。」

「きっとそのためには、」 とモモは言いました。

「そういう時計がいるのね。」

マイスター・ホラは笑って頭をふりました。

「時計があるだけじゃだめなんだ。この時計の読み方も知らなくては。」

~『モモ』 ミヒャエル・エンデ作/大島かおり訳(岩波少年文庫)P216より引用~

今日は私の大好きな『モモ』から引用しました。ミヒャエル・エンデは占星術の世界にも魅せられていたのでしょうか・・・?(^-^)

季丘便り 伊野華絵
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結婚について

『結婚について』

結婚についてお話をどうぞ、とアルミトラが言うと彼は答えて言った。

あなたがたは共に生まれ、永久に共にある。

死の白い翼が二人の日々を散らすときも

その時もなお共にある。

そう、神の沈黙の記憶の中で共にあるのだ。

でも共にありながら、互いに隙間をおき、

二人の間に天の風を踊らせておきなさい。

愛し合いなさい、

しかし愛をもって縛る絆とせず、

ふたりの魂の岸辺の間に

ゆれ動く海としなさい。

杯を満たし合いなさい、

しかし一つの杯から飲まないように。

ともに歌い踊りよろこびなさい。

しかしそれぞれひとりであるように。

リュートの弦が同じ音楽でふるえても

それぞれ別のものであるにも似て。

自分の心を(相手に)与えなさい。

しかし互いにそれを自分のものにしてはいけない。

なぜなら心をつつみこめるのは生命の手だけだから。

互いにあまり近く立たないように。

なぜなら寺院の柱は離れて立っており

樫や糸杉は互いの影にあっては育たないから。

~神谷美恵子著 『うつわの歌』 ハリール・ジブラーンの詩 結婚について より引用~

神谷美恵子さんの「うつわの歌」は絶版になっていましたが、昨夏に新版となってこの世に再登場しました。素晴らしいことです。こうして手に取って読めることに心から感謝。

神谷美恵子さんは、精神科医と同時に翻訳家でもありました。彼女の晩年の仕事のひとつにハリール・ジブラーンの詩の翻訳活動があったそうです。

彼女は上記の詩のあとに彼女自身の言葉としてこう綴っています。

聖なるものを中心にしての結婚観です。「天の風を互いの間に踊らせておく」だけ間隔をおき、それぞれが「ひとりであること」を可能とするような結婚 -これをジブラーンは理想としたのですが、げんにこれをそのまま実現した方々も決して少なくないのを私どもは知っております。「同じ杯から飲むな」と言ったたぐいのことばは、もちろん文字通りにとってはいけないのであって、すべてが象徴的であるのがジブラーンのことばの象徴です。最後の部分など、結婚を寺院とみたてているのがわかります。心がしいんとします。

ハリール・ジブラーンの詩をもっと読んでみたくなりました。・・・できれば原書で。

今年やりたいことがまたひとつ増えました。ワクワクします(^-^)

季丘タロット
http://homepage3.nifty.com/inohanae/

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